イノベーションはビジネスサステナビリティの解決策となるのか?

AI2022-12-03

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イノベーションとは、簡単に言えば問題を解決する行為です。この点が、何かの仕組みやあるいはなぜ機能するのかを解明する研究とイノベーションが異なる点です。イノベーションを起こす時は、これまでにない新しいツールや方法論を使って問題を解決し、以前よりも速く、安く、効率的に問題を解決することを目指します。

持続可能な社会(サステナビリティ)に向けたスピードがますます速まる中、イノベーションを重要な目標に据える理由はたくさんあります。まず、サステナビリティの実現は正しいことであり、イノベーションはその実現を加速する存在です。しかし、それを「正しいこと」であると表明することは、無形で曖昧な概念です。ではどうすれば、人々(及び企業)にそれを納得させることができるでしょうか?

株主や消費者からのプレッシャーのおかげで、企業は省エネや環境汚染対策、ジェンダー、人種や民族などへあらゆる差別問題に抗じるために、ビジネスモデルやオペレーションを変革しています。長期的に見て、持続可能な実践は、コスト削減、効率向上など、世界全体にとってより良い社会を実現に貢献します。より多くの企業が持続可能なイノベーションを取り入れるにつれ、サステナビリティはもはや単なるトレンドではなく、ビジネスをする上で不可欠であることがますます明らかになっています。その変化のプロセスの鍵を握るのがイノベーションです。

イノベーションとは、具体的な現実の問題(世界)を解決することであり、おそらく一般的に信じられているのとは逆に、イノベーションには先行研究の知識が自動的に必要となるわけではありません。イノベーターとして成功するために、優れた研究者や科学者である必要はなく、例えば、蒸気エンジンの登場では、蒸気サイクルの理解(研究)に先立ってイノベーションが行われましたが、蒸気エンジンの基礎となる熱力学のサイクルはずっと後になってから発見されました。この場合、イノベーターと呼ばれる人たちは、あるパラメータで機械を作れば、それが機能するということに気づいただけなのです。

しかし、研究はさらなるイノベーションに繋げることが多いことを認識することは重要です;蒸気サイクルの仕組みが分かれば、それを利用したより効率的な機械を作れるようになります。イノベーションと研究は密接な関係にあるが、どちらか一方が欠けてもダメなわけではありません。

では、イノベーション(研究に先行するものや進めるものであれ)は、どうサステナビリティの実現に貢献できるだろうか。例えば、実験室で作られた肉について考えてみます。アップサイド・フーズなどのスタートアップは、細胞や植物の飼料から直接食用肉を培養ことに成功し、食肉の養殖過程で発生する汚染や廃棄物、工業的農業がもたらす動物の苦痛を軽減させています。

イノベーションとは、あるトピックやコンセプトを理解し、それが役に立つ問題に応用することです。従って、テクノロジーが変わっても、イノベーションの定義は変わらないのですが、そのペースや性質は確実に変わっています。100年、200年前、イノベーションを起こすのは社会のエリート層が中心でした。なぜなら、知識にアクセスすることはいわゆる特権で、本や図書館にアクセスするには自由な時間(経済資本を有していること)が必要であり、多くの場合、自分の住む町、国や自分が使用している言語に利用できるものなどの局所的な知識に限定されていました。これは、異なる国や社会や経済階層の間に、イノベーションを起こす能力に大きな格差があったことを意味しています。

今日、情報技術やインターネットの普及により、知識にアクセスできる人の数は飛躍的に増え、そのため、競争条件が平準化され、イノベーションがより身近なものになってきました。言語、社会経済や地理的な条件による制限はまだありますが、これらは大幅に緩和されました。そしてこの情報アクセスへの変化は、小さなコミュニティでも、大企業のサービスが提供する領域とほぼ同じく、より早くイノベーションを起こせる可能性があることを意味します。

しかし、企業や会社は短期的な利益成長の原則に導かれることが多く、時にはそれが、サステナビリティという目標と相反することがあります。コーポレート・サステナビリティは、この2つの目標をアラインさせることが原則です。企業は、長期的に事業を継続させるように、財務的健全と利益を還元することに努めていますが、同時に、ビジネスの成果が社会に良い影響を与えるように確保することも重要なのです。

持続可能性に欠ける企業は、多くの理由から、長期的にうまくいかない傾向があります。単に世論的、社会的認識からだけでなく、法的、財務的リスクの面からも同様です。持続可能性のない企業は、イノベーションに欠き、特定の市場にとどまる傾向があるため、イノベーターによるディスラプションに対して脆弱になります(最初は市場において独占的な企業であった場合も)。少なくともある程度の収入が保証されている時、人々はイノベーションの重要性に気づかない傾向があります。イノベーションは、企業のリーダーシップによる長期的な思考が必要であり、多くの場合、ある程度の金銭的な投資も必要です。「イノベーション投資」の成果は、直接的には収益の増加に繋がり、間接的には、従業員が持続可能な組織で働きたい、貢献したいと強く思うようになり、熱心な従業員を獲得することや育てることに繋がるのです。

イノベーションは、サステナビリティを向上させ、地球が直面する課題に取り組むために不可欠です。新しい技術、実践、ソリューションを開発することで、より持続可能な未来を創造し、次世代のために地球を守ることが可能になります。Recursiveのような企業は、この取り組みの最前線にいます。森林の地下水位予測、高解像度の天気図作成、医療成果の改善などのプロジェクトで、弊社は持続可能性のための戦いに真の変化を起こしています。私たちはみな、持続可能なイノベーションを支援し、促進する役割を果たせるのです。

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共同創設者兼CEO

Tiago Ramalho

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンにて、理論/数理物理学 修士号、生物物理学 博士号を取得。卒業後、Google DeepMindに入社。シニアリサーチエンジニアとして、強化学習、予測モデル、自己管理型学習など、最先端プロジェクトに従事しNatureなどの国際雑誌に多数の論文を発表。その後、多国籍AIスタートアップ、コージェントラボにリードリサーチサイエンティストとして入社し、来日。情報検索&質問回答、デザイン生成モデル、OCR、NLP等、様々なプロジェクトを推進。2020年8月、株式会社Recursiveを共同創業し代表取締役に就任。

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